FAKE‐LAKE
◇ ◇ ◇
月曜日、ニールは平静を装ってアンジェの家へ向かった。
昨日、依頼人に頼まれて行った時、アンジェは家にいなかった。ただ、テーブルの上に自分に当てたのだろうメモがあったので生きている事は分かったのだけれど。
『弟を探してきます。配達の日以外来ないで下さい』
ニールはぎゅっと唇を噛む。
アンジェは分かってるんだ。自分が見張られている事を。
書き置きをし、薬を置いて帰る時に気づいた。二人の男が陰からこちらを見ていた。
そ知らぬ振りをして帰ったけれど、正直言って少し怖かった。そのせいか今も、すごく緊張している。おれらしくないな、とニールは苦笑した。
アンジェの家へ続く坂を上る。ふと目をあげると、杏の木の下にアンジェが立っていた。
葉の落ちた枝をぼんやりと見上げている。
寂しそうな横顔に、ニールは“何も知らない配達屋”を意識しつつ近づいた。
「ちわっす! アンジェさん」