FAKE‐LAKE
◇ ◇ ◇
「傷の薬と包帯、あと必要なのは……」
診察前、シアナは必要な薬品を揃えていた。
躾の残酷さはどんどんエスカレートし、レイはぎりぎりの状態で生きている。シアナがいなければ今頃は帰らぬ人になっているだろう。
「水が欲しいと言っていたか……」
少しでも吸収が良いようにと栄養剤を混ぜた水を作る。
後は、と考えたシアナの脳裏に痛みに呻くレイの姿が浮かんだ。
昔身についた癖だろうか、自然と痛み止めに手が伸びる。薬の瓶を手にしてシアナははっとした。
「何やってるんだ、俺は」
博士は痛み止めを許可しないだろう。痛みを与えるために虐待しているのだから。
最低限の体力さえ保たせれば良いのだ。相手は“兵器”であって同情は必要ない。
そう、これは仕事なのだ。シアナは瓶を棚に戻す。