FAKE‐LAKE
「危ないレイ、駄目だ避けてろ」

アンジェが右手で腕を掴もうとした時、レイは博士の前に出ていきひざまずいた。

「僕、あなた、従う。全部、従う。お願い、この人、助ける、お願い。お願い」

虚ろな瞳から静かに涙をこぼして懇願するレイに、博士の表情が大きく揺れた。

何かを思い出したように。その何かに怯えるように。


『頼む、二人を殺さないでくれ! 何でもお前達の言う通りにする! だから、従うから、二人を――』


「……セトナ」

博士は研究室の奥に向かって声をかけた。

「アンジェを縛っておけ。どうするかは後で考える」

奥から出て来たセティを見てアンジェは目を見開いた。まさか。

「先生……」

セティは曖昧な表情を浮かべてアンジェに近づく。手には白い布。

「ひどい」

アンジェの表情が怒りで歪んだ。おじさんだけでなく、先生まで裏切るなんて。

「最初から見張ってたんだろ。親切な振りしてレイの事も探ってたんだ!」


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