FAKE‐LAKE
◇ ◇ ◇
辛く苦しい一夜が明けた。
ガチャン、と鍵が開いた音が響く。電気がつき部屋が明るくなった。
「気分はどうだ?」
レイの顔を覗きこんで博士は尋ねる。柱に縛られてぐったりしている彼の手首は紫色に鬱血していた。
「大分暴れたようだな」
博士はレイの頬を軽く叩いて呼び掛けた。レイはゆっくりと目を開ける。すぐには視界が定まらないのか、黄緑色の瞳がゆらゆらと宙をさ迷う。
「どうだ? 私がわかるか?」
……誰?
レイは、目の前にいるのが誰かわからず、不思議そうに首を傾げた。
博士はレイを縛っていた手首の縄を解き、脇を支えて立ち上がらせた。足元が覚束ないのか、きちんと立てない。
「歩けるか?」
レイは答えずに博士をじっと見上げている。幼い子が見知らぬ人を凝視するように。
博士はレイを抱えて机の上に座らせた。目線が丁度同じくらいになる。
「見えるか?」
目の前に博士が差し出した手を見てレイはこくんと頷いた。