FAKE‐LAKE
さわ、と風が吹き抜けていく。

『アンジェは僕のお兄さん、だね!』

「レイは自慢の弟だったよ」

スケッチブックを切り株に置き、湖のほとりへと足をすすめる。

レイが膝を抱えていた場所に、同じように座った。

「レイは幸せだったかな」

最期まで自分を庇ってくれた彼の姿を思い出す。

『この人、助ける。お願い』

記憶を無くしたはずなのに、涙を流して庇ってくれた。

「……ありがとう、レイ」

君のおかげで僕は生きてる。

幸せだよ、今。


ぽた、と透明な滴がアンジェの膝に落ちた。


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