FAKE‐LAKE
スケッチブックの上にぱらぱらと銀色の粉が降ってくる。

何、あれ。アンジェは切り株の真っすぐ上に視線を移した。

「絵、上手いなぁ」

誰かの声がした。アンジェは耳を疑う。

誰の声? そしてどこにいるんだ?

「やっぱりモデルがいいのかなぁ」

もう一度声がしてアンジェは立ち上がった。この声はまさか。

「幻聴……?」

とうとう耳までおかしくなったかな。

アンジェは声がする方に近付いた。

まさか。まさかそんなはずはない。

心臓が異様に早く打つ。まさかと思いつつ期待してしまう。

期待しつつ、そんな訳ないと自分に言い聞かせる。矛盾しているようだけど。


「よっ、と」

すとん、と枝から下りてきたのは、十二、三歳の少年だった。


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