FAKE‐LAKE
◇ ◇ ◇
「そんな事があったんだ……」
アンジェはすっかり冷えてしまった紅茶に口をつけた。
「僕、何も知らず先生に酷い事言っちゃったな」
謝らなきゃ、とアンジェは呟いた。先生は演技が上手すぎて、味方だったなんて少しも見抜けなかった。
「いつか、会えるかな……」
自分たちを助けるために博士の懐に入り、身を危険にさらす事までしてくれた事に感謝したい。
「あ、じゃあさ」
レイは名案を思いついてアンジェの手を握った。
「今度、アンジェもロスタナに行こうよ。春に一度帰る事になってるんだ。先生も喜ぶし、シャナパパにも会って欲しいし」
「そうだね。そうしようかな」
アンジェは微笑んで、もう一口紅茶を飲んだ。
「博士にも会いに行く?」
何気なくレイが尋ねると、アンジェは途端に表情を硬くした。無理も無いことだけれど。
「別人みたいに優しい人になってるから大丈夫だよ」
「いや、博士には会わない」
アンジェは即答し、ぎこちない笑顔で続けた。
「博士に会って冷静でいられる自信ないから、止めておくよ。博士が僕にした事は許せても、レイにした事は絶対に許せないから」
そう、とレイは頷いた。
『お前の事、とても大事にしてたよ』
セティの言葉を裏付けるようなアンジェの台詞が何だか嬉しくて、レイは紅茶を飲みながらこっそり微笑んだ。