リーフのつばさにラヴレター
でも写されている生徒達は彼氏や彼女、友達、片想い、初々しさ、楽しさ、寂しさなどのその一日が詳しく書かれているような写真だった……。



……あの写真がないことをふと思い出した。没にでもなったかな?と思いながら、俺はほっとした。先生があんなことを言ってくれたとはいえ、どうせ間抜けな顔をしていたに違いない。誰にもみられなくて良かったと思った。



二週間くらいその使われていなかった教室は、休み時間の度いっぱいでなかなかじっくりと見れなく、一ヶ月経とうとする頃にそれらをみれた。



後で聞いたら、先生自身を撮ったものもあるけど、足とかガラス越しとかだよっと言っていた。俺は最後に撮ってもらいたい人だけ入った集合写真と、何枚か先生がそこをはさみで切って張ったような風景などを購入した。


中庭の木からこぼれるキラキラした木漏れ日。ビニールテープで作られた飾りがゆらゆら揺れる誰もいない少し汚い廊下。文化祭という小さな枠の学校内に収まっているのを校門に立てかけてある看板。先生はそういうのを誰かわからない笑顔でピースしている写真の隣に飾ってあった。



それがやけに目についてついつい番号を書いていた。多分あの一日、先生と一緒にいたせいかもしれない。


先生の近くに行きたかった。


もっと近くに……。




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