恋 理~renri~
って…、今のは私が悪くないでしょう?
宇津木君のせいじゃない・・・
「いや…、それよりもう行こうか?
じゃあね、“部下の”宇津木君…?」
そんな私を宥めると、フッと一笑する大和さん。
グイッ――
肩を引き寄せられて、彼との距離が一気に縮まった。
「ッ・・・」
ふわりと掠めた爽やかな香りに、高鳴る鼓動が煩くなる。
触れている箇所の熱に絆されて、私は何も気づかなかった。
大和さんが言い放った、締めの言葉にも。
それを聞いた、宇津木君の表情にも・・・
引き寄せられたまま、会場を足早に退出した私たち。
こちらはパニックで、恥ずかしさが募っていたというのに。
大和さんとの距離は開く事なく、いつも通りに平静としている彼。
この状態の意味は、何処にあるの・・・?