恋 理~renri~


始める前から諦めるなんて、仕事では絶対にあり得ないのに。



ほぼゼロ地点からスタートした意気込みは、もうドコ吹く風だよね…?




「…そう・・・

でも、アンタにしては頑張ったじゃない?」


大和との電話を終えると、真夜中という事も忘れていた私。



まったく以っての迷惑電話を、爆睡中の泉に掛けてしまったのだ。




「うーん、会いたいのに怖いって思う…」


「そんなの、会えば何て事なくなるわよ。

“案ずるより産むが易し”でしょ?」


いや…、私たちは出産経験ナイから解んない例えだよ…。




口はすこぶる悪いけど、こういう時は絶対に怒らずに話を聞いてくれる泉。



そりゃあ女王様だし、開口一番は“今何時だと思ってんのよ!”だったけどね・・・




「はぁー、なんか凄い情けない…」


こんなにも臆病な自分の弱さを、改めて知りたくなかったからかな?



でも父親とは思わない“アノ人”が原因だよね、やっぱり…。




「ホホホッ、アンタもようやく女になったわね?

イイ?恋愛は真剣なほど、どんどん格好悪くなるのよ。

綺麗事だけで片付くほど楽じゃないの、分かったでしょ?」


「・・・うん…」


高らかな笑い声とともに、今日もまたレンアイの格言を提示されて納得した。



信じたいって思えるから…、大和の事が真剣だから怖くなるのかな…?




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