恋 理~renri~


口はすこぶる悪けれど、誰よりも私たちを心配してくれる泉。



今まで頑張ってこられたのも、彼女のサポートがあったからだ…。




「フフッ、見返りを期待してのコトよ」


「はいはい…」


「フンッ、これで“貸し32”になるわ!」


そんなカウントをして笑いながらも、返済を迫る事は一度も無いクセに・・・




――――――――――…



「すみません、それでは失礼します」


「はい、お疲れ様です」


「お先に失礼します…」


翌日の早朝から出勤して業務をこなすと、定時前に仕事を切り上げてしまった。




営業部のフロアを抜けると、そのまま静かな女子更衣室で急いで着替える私。



問題の宇津木くんは、新人研修で一日不在だったから出社に不安もなく。



戦闘モード態勢の武装を纏ってしまえば、表情までピリッと変わる事が幸いした。



お陰で日常業務だけでも片付いたから、明日も残業はしないで済むだろう…。




だけれど仕事中なのに、不安とドキドキ感が消えてくれなかった・・・




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