恋 理~renri~
生い立ちをキッカケにして、男性に頼ろうなどと考えた事がなかったから。
それこそ頼れる物は自分の身一つで、唯我独尊的に考えていた節もあったのに。
いつ以来だろう…、不思議なくらい心にゆとりが生まれるなんて・・・
「とにかく、真咲は笑っていれば良いの。
何も心配する事なんて無いよ、そのままで十分!」
「・・・うん」
可愛げゼロな私を優しく導いてくれるから、すっかり毒気が薄れていく気がする。
こんな私を好きになってくれた大和には、どれだけ感謝してもし切れないから。
彼の事だけは…、自分の気持ちにまっすぐ正直でいられるように頑張らなきゃね…。
するとその時、スーッと大きく開かれた襖の向こうで2人の姿を視界に捉えると。
精悍でいて逞しい体格の男性は、お母さまとともに私と大和の向かいへ腰を下ろした。
「待たせてすまなかったな」
「いや、そんな事無いけど…」
すっかり向かい合う形が作られて、スマイル!と思うほどに顔が強張っていく私。
その中で声を発した男性が軽くお辞儀をすると、苦笑してひとつ頭を振った大和。