恋 理~renri~



だって今日という日は、泣くよりも笑っていたいもの・・・



最後に笑った泉が出て行くと、お義母さんが私に優しい眼差しを向けてくれる。



「真咲ちゃん、大和の事を宜しくお願いね?」


お義母さんの一言はすごくシンプルでいて、とっても重い一言だから。



「お義母さん…、私たちの方こそ宜しくお願いいたします」


笑顔で椅子から立ち上がると、セットが崩れないように注意して会釈する私。



「うん、宜しくしたいから近くに来たんだしね?」


「ふふっ、本当に助かります」


「私の生活もハリが出て楽しいものー」


そうして笑い合う事で、またひとつ距離が縮んでいくから不思議だね・・・





先ほど宇津木くんを叱咤していた通り、今後も私は仕事を続けていくつもりだ。



だけど結婚する以上、どうしても家庭の事にウエイトを置いた生活をしたいし。



いずれ授かるであろう子供について考えれば…、今のスタンスでの仕事は厳しい。



だから退職の道も考えたけど…、そこでも周りの優しさに救われてしまったの。




“真咲ちゃんが納得するまで、仕事は続ければ良いじゃない!

迷ってる時にムリに答えを出せば、絶対に後悔が付き纏うもの”


そう、これはいま笑い合っているお義母さんが掛けて下さった言葉だ…。




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