CROOK GIRL×BOY


「あーぁ。目、見られちゃった」

右目の部分が割れている仮面を外しながら、
ナオは はぁ、とため息をしながらも困っている表情はしていなかった。

『気をつけろ、って言ったのに』

「他の人間たちに顔を知られたら面倒な事になるんだからな、分かってんのか?」

「分かってる。この事ユウリさんに報告しないといけねぇよな?」


まったく顔を知られた事に反省をしてないナオに対し、レイは呆れて小さくため息をつく。

「少しは反省しろっつーの・・」

その小さなレイの声も風の音で儚く消える。

「でもさレイ、あの盗み屋本当に強いヤツだったよ。ますます殺したくなってきた」

次はルゥも戦ってみなよ、 と不気味に笑いながらルゥに勧めるナオ。

ルゥはそれに答えず、汚れた仮面越しに月を見上げていた。

辺りを青白く照らす月は、ただ静かに夜空に浮かび、そして血に染まったルゥを見下ろしながら、彼等を照らしていた。



『アイツもどうせ同じだ』

ルゥは血でベトついた仮面を外し、ずっとかぶっていたフードもゆっくりと脱ぐ。
緩い風と共に、ブラウンの髪がふわっと靡く。

肩より少し伸びたブラウンの髪は、月に照らされてキラッと光る。
彼女の整った顔は感情を顔に表さないため、一層美しく見える。

『あたしが女だと知ったら、どうせ手加減してくる』

今冷たい瞳をしているルゥは、おそらく心も冷めているだろう。

それと共に、小さな怒りも芽生える。


女だからと言って、甘く見る奴は許さない。


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