My Mother
幼少時代
あたしは昭和57年10月22日金曜日17時50分、父啓三、母洋子のもとに誕生した。

小さいアパートの一階に部屋を借りて、幸せな家庭の始まりだった。

そしてあたしは『桃子』と名付けられた。

あたしたち家族の運命の始まり。

あたしが覚えている幼少時代は既に市営住宅に住んでいた。

お隣の真理ちゃん、上の階の明日香ちゃん姉妹、二階に住む香織ちゃんたちとよく遊び、お母さん同士も仲良しだった。

お誕生会にはお母さんがケーキを作ってくれて、クリスマスにはサンタさんにお願いしたプレゼントが朝起きると必ず枕元に置いてあった。

あたしは幸せだった。

家庭内のことなんて何も知らず、ただ楽しい、嬉しい、幸せな毎日だった。

お母さんは娘のあたしから見ても背が高くて綺麗で料理上手で、自慢のお母さんだった。

一人っ子だったあたしはお母さんにべったりな甘えん坊。

ずっとずっと、そんな幸せが続くと思っていた。

それが当たり前だと思っていた。
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表紙・目次

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