りんごゆき
7.ココロノハジッコ





あの頃の日常を思い出に変えていくことが大人になるということなら、私は大人になんかなりたくなかった。



そんな大人の言いなりだけの子供でもいたくなかった。



何にも分からない子供なくせに大人振って。



結局、私は宙ぶらりんだったんだ。







秘密基地がなくなることが決まったのはある秋の日だった。

夏が終わってようやく涼しい風が頬を掠めるような、そんな秋晴れの日だった。





「なにこれ…??」



その日は早い時間から秘密基地でミニライブでもやろうと2人で商店街の横の細い階段を上った。

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