うちの所長知りませんか?

急ごう、とにかく急ごう、現場検証しよう

真美ちゃん、そして白鳥さん率いる推理研究会、僕を合わせた五人で、そこを訪れた。

三年校舎の三階、大恩寺めもりさんの教室だ。

今さらになって、大恩寺さんって先輩なんだ、とは思ったけど、大恩寺さんは大恩寺さんでいいや。

「えーと、それで大恩寺さんの机はどこですか?」

「窓際、一番後ろです」

「うわぁ、VIPシートですっちゃ」

不知火みぎの言葉に、真美ちゃんが羨ましそうにぼやいた。

一番後ろ、しかもぼんやり外を眺められる窓際は、言わずと知れた特等席なのだ。

大恩寺さんの席まで歩いた僕は、そこに腰かけてみた。

「ここで、大恩寺さんは一時限目、心の目を開眼したんですね」

「真面目に取り合わずともよいですよ、所長は変人ですので」

……白鳥さん、木刀持ってる〝二十面相〟のアナタがそれ言っちゃいますか。

「や、とりあえず大恩寺さんと同じことをやってみようかなって思ったんですよ。……不知火さん」

「「はい?」」

「すみません、妹さん、ひだりさんのほう、大恩寺さんはいつも数学の時間は心の目を開こうとするんですか?」

「いえ、そうとは限りません、ただ、今日はそうだったと」

今日は……か。
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