いらない子メーカー
学校はもういらない
これは、自然なことなんだ。
と、果菜(かな)は思う。

果菜が学校に行きたくないのではない。
学校という場所が、組織が、果菜を「いらない子」だと判断した。

少なくとも、果菜にはそうとしか思えず、違うと信じさせてくれるどんな説得力のある言葉も、今はなかった。

果菜の好きな色、水色を基調としてまとめられた自分の部屋。
女の子の部屋にしては、殺風景なくらいこざっぱりとしたこの部屋にいるときが、いちばん安心できた。

レースのカーテンを揺らして、初夏の風が部屋に入り込む。

この部屋の中でじっとしていたって、何かが急に上手くいくなんてことはありえないって、それくらいわかっている。自分が変わらなければ、物事は決して変わらない。

わかっているけれど、どうしたらいいのか。

その答えが、今は見つからない。

――ごりむちゅう

言葉は知っているけれど、漢字が思い浮かばない。
果菜は、机の上に鉛筆を放り出すと、携帯電話を取った。
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