月と太陽の事件簿2/点灯す(ともす)
3章
「おふたりが現場におられたとは驚きました」

アパートの廊下にて。
あたしたちは所轄署の捜査一課、浦川警部と対面した。

幸いというか、あたしや達郎とは顔なじみで、一緒に捜査をしたこともある。

キャリア30年のベテラン刑事だが、人柄は温厚で警察官としてはまだヒョッコのあたしにも礼儀正しく接してくれる。

「達郎君に日野巡査もいてくれるとは、心強い事この上ないです」

浦川警部はそう言って笑った。

達郎にお世辞を言ってるのではなく、心からそう思っている事は表情からも見てとれる。

ただし、あたしもいてくれるのくだりは余計だ。

なんか『お目付役がいてくれてラッキー♪』と言ってるような気がする。

でもそれを抗議するわけにもいかない。

なので代わりに、達郎をにらんでみた。

しかし当の達郎は知らん顔でいる。

あー憎たらしい。

「事件の概要を教えてもらえませんか?」

達郎が訊くと、浦川警部は手帳を開いた。

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