月と太陽の事件簿2/点灯す(ともす)
2章
気晴らしに本屋に入ることにした。

雑誌コーナーに向かうと達郎も後からついて来た。

ファッション誌に目をやるあたしの後ろを通り過ぎ、達郎は1冊の雑誌を手にした。

変わり者のイトコがどんな雑誌を読むのか興味を覚えたあたしは、その雑誌をのぞきこんだ。

その雑誌は最近テレビでよく見るパフォーマンス実験の数々を掲載した科学雑誌だった。

「へぇ、あんたこんな本読むんだ」

「アレの影響でね。たまに読むんだ」

達郎は店内に貼ってあったポスターを指さした。

それは映像化され大ベストセラーになった、ある推理小説のポスターだった。

「あーアレね」

「レミは読んだ?」

「ドラマは見たけど原作は読んでない」

「面白いから読んでみ」

「そんなに面白いの?」

「実に面白い」

あたしは達郎の足を思い切り踏んづけた。

「痛っ!」

「ごめん、なんかムカついたもんで」

似てないモノマネだっただけに、なおさらムカついた。

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