じいさんとアタシ
「でもアタシには家族なんていないんです」
なんとなく言ってしまった。
シュンとした空気を追い払うかのように明るく。
「お母さんはいるけど、必要最低限の話しかしないし、
ってか家にいないからあんまり話さないし、
アタシもそれがラクだから、気にしてないし…」
「だからお父さんいてもいなくても、同じなんです」と、言った。
トミさんとヤツに言ったつもりなのに、
自分に言い聞かせてるみたいだった。