LAST contract【吸血鬼物語最終章】



気づけば、僕は自分が座っていたソファーにスミレを押さえつけていた。

「な、に?」
「お前、何言ってんの?」



僕が好きなのはお前一人。



「ボクに、構っているより、彼女のところに行った方が良いって言ってるの‥」

お前以外に、誰を好きになるっていうわけ。
記憶が無くてもさ、少しは気づいてよ。
僕の、気持ちに‥‥



「僕が今、誰といようと僕の勝手」



あの日から、心臓が締め付けられているんだ。



「う、浦さ‥」



もう、苦し過ぎて‥‥。



「何を、しようとも」



苦し紛れに、
‥‥手を、出してしまおうか。

別に初めてってわけじゃないんだし。



「ん‥ふ、っ、イヤ!!」

少し乱暴にキスをすれば、スミレは僕から逃れようと顔を反らした。
その行動が、逆に僕を煽る。

「イヤ?違うでしょう‥」

クスクスと笑いながらスミレの顔を覗けば、スミレは不安の目を僕に向けた。
いつもなら、少しためらう様にして

最終的には受け入れてくれるだろう?

そんな事も全て忘れてしまっているのか。
全て、全て‥

「分からないなら、僕が教えてあげる」



こんなに近くにいるのに

お前に触れているのに



心に触れる事は出来ない。



「お前が、悪いんだ」



これはただの偽り。

本当に悪いのは、



「いやぁー‥ッ!!」










僕、なんだ。




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