優しい嘘
 そう独りごちりながら、冷蔵庫のドアを開ける。


 そこには大きな肉の塊が幾つか。


「この間の子はさ、ちょ〜っと、太り気味だね。
 脂肪って処理すんの大変なんだけど」


 『ま、いっか』と呟き冷蔵庫を閉じた。



 涼平の女達の失踪事件。


 全部俺が殺して、全部シチューにした。


 だってさ、涼平があんなに喜ぶとは思わなかったからさ。つい。


 それに、殺した後始末も出来るから、一石二鳥って事で。


 まあ、美味しければ良いじゃん?


 ただ、涼平は、いつもシチューの肉を『牛の肉』と信じて疑わない。


 だから俺は嘘を吐く。


『それは、美味しい『牛の肉』なんだ』と。


 ちょっと心苦しいけど。


 まあ、いつか涼平も俺の気持ちに気付いてくれるだろう。


 それまでは作り続けるよ。



 愛情たっぷりのビーフシチューをね。






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