群青の月 〜『Azurite』take00〜
…キャップに隠れて、顔は見えないが
腕を組み
ジッとこちらを見ているのを感じる
そしてその人は
人波を移動して来ると
『 いいベースですね 』と
キャップの下の
形の良い、笑った口元を見せた
俺が
「 宝物ですよ 」
そう笑うと彼は、
一瞬、血の気の失せた様な
歯を見せない弱い微笑みを浮かべ
その場を、去って行った
―― 妙に気になる
笑ってはいたが
一瞬、刃物の様な敵意があって
だから俺も、同じ様に返した
そして
"宝物"の一言で
すぐに消したのがわかった