群青の月 〜『Azurite』take00〜

雑居ビルの屋上




覗かれているかもしれない事は
まだ誰にも、言っていない


"覗くなら覗けよ"
そういう気分も、少しあった

…庭で真っ裸になって
ラジオ体操でもしてみようか




「 どうした? 青山くん 」


庭で洗濯物を干しながら
屈伸していた俺に
ソファーから竹田さんが声を掛けて来た



「 …少し、運動不足かなと 」


「 ああ
俺と違って、二人共若いものね
二週間位篭りっ切りはキツイやな 」



「 いえ インドアなので問題ないです 」



「 黒帯が、何言ってるよ 」


そう言われ、尻を叩かれる

…横濱の事だったら
何でも知ってるのかこの人は




「 …親父倒すのが目標だったんですけど
一度入院して
それで気が削がれました 」


竹田さんは「 ふ 」と、口を尖らせて笑う


「 じゃあ今晩は、この爺さんの
お守りでもしながら
久しぶりにラーメンでも食いに
行かないか
おでんも捨て難いけどよ 」



…解禁って事か


「 ラーメンがいいです 」と笑った



その時
歯を磨きに行った筈のカッパが
真っ青な顔で走って来た



「 ……どうした?皿でも割れたか? 」



部屋の真ん中で仁王立ちして
黙っている







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