劇場版 乙女戦隊 月影
「貴様!足をどけろ!」

九鬼が思い切り踏みつけている為、いたちごっこは、鎌を抜けない。

「お、おのれえ!」

引っ張ってもびくともしない為に、いたちごっこは鎖の方を投げつけ、九鬼の右腕に巻き付けた。

「こうなったら、いたちナックルパンチを、お見舞いしてやるぞ」

前足を握り締めたいたちごっこは、巻き付けた鎖を引っ張った。

九鬼は、もう一度鎌を踏みつけた後、引っ張られる力に逆らうことなく、いたちごっこ向かってジャンプした。

そして、いたちごっこの頭上を飛び越える瞬間、鎖を操り、いたちごっこの首に巻き付けた。

そして、いたちごっこの後ろに着地すると、鎖を引っ張った。

「うぐう!」

いたちごっこの首が絞まる。

九鬼はさらに、思い切り引っ張った。すると、刺さっていた鎌が取れ、そのまま勢い余って、飛んできた。

「え!」

驚くいたちごっこの額に、突き刺ささる鎌。


九鬼は、腕に絡み付いた鎖を外すと、

いたちごっこの方に振り返ることなく、大仏殿の方へ坂をかけ降りて行った。


「早奈英さん!」

九鬼は、早奈英の身を案じていた。



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