切望と絶望の扉
第一章 漆黒と覚醒
     
     …!?

    …暗い。

    …なにも

   なにも見えない…。


 漆黒の中、俺の自我は目覚めた。

 …いったい!?

 ここはいったい、どこなんだ?

 動揺なのか?理解不能なのか?自分を整理する以前の問題であった。暗闇の中、手探りを繰り返す。

 なんだ?右手のひらに冷たく、固いなにかを感じとった。
 壁か…!?それはコンクリートの壁だった。心なしか壁は少し湿っている。

 立ち上がって、体を前のめりにし、両腕をおそるおそる前方へ伸ばしてみる。すると、両手のひらにまた冷たいなにかを感じた。
 
 違う。これは壁ではない!?握れる!?鉄の棒!?慌てて足をわずかに運びつつ腰を回しながら、腕を色んな方へやってみる。正面は鉄の棒が十数本並び、左右後方コンクリートの壁に囲まれていることがわかった。
 広さは二畳はないくらいか?狭いな。まるで…ん!?

 まさか!?暗雲が俺の脳裏によぎる。

 まさか…ここは牢屋なのか!?俺がなぜこんなところに閉じ込められたのか。わからない。俺にはまったく記憶がない。自分が何者かさえ…。

 もうどうしようもなく、やるせなくなった俺はとりあえず、その場に腰をおろしてみることにした。落ち着くしかない。
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