切望と絶望の扉
第二章 切望と牢獄

…逃げ場がない…


 牢を出て、回廊が続く。

「…どこへ?」

 俺は看守の一人に尋ねると、すぐに答えがきた。

「私語は禁止だ。ただもうわかっていることだろう。もうすぐ支度は終わるな。お待ちかねの時間だ。」

 支度だと?その看守の表情は少し強ばっていた。回廊から階段へと差し掛かる。俺は背後についた看守らに押されるように上った。会話なく淡々と上へと移動する。俺の感覚ではたぶん3階で階段を抜けたと思う。そして、薄汚れたタイル状の通路に出た。

 この建物が何階建てか、敷地はどれ程かという構造はついさっき目覚めたばかりの俺にはとてもではないがわかりかねる…階数もどこにも標記されていないためにわからない。ただ一つはっきりしているのは、ここが刑務所であることだということ。

 通路を歩いていると、ここの囚人たちが脱出できぬよう鉄格子で補強された窓がちらほらあった。俺はそこへ目をやった。どうやら窓の外は曇りらしい。そして、窓に三人の看守とスキンヘッドの人相の悪い太めの男が映っていた。肌は白っぽくも見えた。

   これが…俺…。
< 5 / 27 >

この作品をシェア

pagetop