ココロのイブキ


春は嫌いじゃない。


暖かい陽射しと色とりどり咲き乱れる花。


校舎の裏側にひっそり咲いてる綺麗な桜並木は野球部のマネージャーが教えてくれた。


今日はそれでも見に行こうかな。


まぁ見に行くって言ったって窓から除くだけだけどね。


「こーころっ」


不意に呼ばれた声は聞き覚えがある声で。


『…んー…?』
「あはは、何、寝てたの?」
『いや、別に…』
「またぼーっとしてた?」
『……うん』
「まぁ志がぼーっとすんのはいっつもだしね」
『春はとくに眠いんです』


ふふふ、と笑って隣に座って来たのは「茉莉(まり)」。


「今年も一緒だね!!」
『ん、だね』
「テンション低い~」
『茉莉が高いの』
「えっそんなことないよ~」


ハイテンション。
これが彼女の代名詞。


明るくて、見た目もお洒落に気をつかって、女の私から見ても凄く可愛いから友達も多い。


見た目の共通点と言えば「眼鏡をかけてる」ってとこだけだから、常に授業中とか休み時間も寝てばっかりいる私と一緒に居ることは周りから見ると不思議なんだと思う。


正直私も不思議だから。


< 3 / 27 >

この作品をシェア

pagetop