キャンパス・ダイアリー
「行こう、橋本」



先生は私の腕をぐいっと掴み、歩き出した。

私の家とは逆方向に…。



「先生…私の家…あっち…」

「あぁ…そう…。今夜ぐらいいいじゃん」



な…何が!?

先生本当に大丈夫!?



「そんなに強く掴まなくても…どこにも行かないよ」



妙に焦る先生を落ち着かせたくて、一回先生の手から腕を離して、先生の手を握った。



力強く私の腕を掴む先生の手は『逃がさない』と言っているようにも思えた。



「俺から離れるなよ…」

「うん…」



潤んだ瞳で見つめる先生がすごく愛しくて…先生をぎゅっと抱きしめた。
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