【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
St. Valentine's Day Special Step
生徒会室に一歩足を踏み入れたあたしは言葉を失った。

「うわ…何これ?」

視界がさえぎられる程の高さに詰まれた段ボール箱の山。
部屋に立ち込めるほのかに甘い香り。

一番近くにある箱を覗いてみると、綺麗にラッピングされた可愛らしい箱が幾つも入っている。

……コレってチョコレートじゃない?

どうしてこんなに沢山生徒会室にあるんだろう。

別に風紀委員が没収してきたわけじゃないわよね?
バレンタインだからってチョコレートを学校に持って来ちゃいけないなんて話聞いたことが無いもの。

入り口に突っ立ってこのまま中に入るべきかどうか暫し考える。

生徒会室が開いているって事は会長の龍也先輩か副会長の暁先輩が来ているってことよね?
でも…室内に誰かがいる気配って無いんだけど。

ダンボールの影になって見えないだけなのかな?

「あの…誰かいます?」

恐る恐る声をかけると、室内に入ってみる。

きっと今のあたしの姿を誰かが見ていたらお化け屋敷にでも入るのかと思われるかも知れない。

…でも、何だかこわいんだよね。

あ、いや。お化けが出るとかじゃなくて、段ボール箱が崩れ落ちてくるんじゃないかと思ってよ?
あたしの身長くらいに積まれた箱が…幾つあるんだろう。数える気もしない。

コレ…本当に全部チョコレートなのかな?

まさかね?お店1軒分買い占めたってここまではならないんじゃない?


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