【長編】Sweet Dentist
【第7章】11月1日(火曜日)
はあぁぁぁぁぁ…。


朝から溜息が止まらない。

今日は千茉莉が最後の治療に来る日だ。

今になってわかる事だが昨日までは千茉莉に会うのが密かに楽しみだった自分がいた。

千茉莉をからかって軽い会話のやり取りをするのが楽しかった。

だからまた、千茉莉に会いたいと思ったし、心のどこかで診療日を楽しみにしていたんだ。

自分の中に彼女に対する恋愛感情が芽生えていたなんて思いもしなかった。

それなのに今日の俺の動揺ぶりはどうだ?

昨日までの何処かワクワクするような気持ちが恋だとわかったと同時に失恋してしまった俺は、どんな顔をして千茉莉に会えば良いのかわからなかった。


昨日千茉莉が告白をされたシーンが頭から離れない。


同級生らしい男に抱きしめられキスをする千茉莉。

抵抗する様子もなかったが、千茉莉の頬を濡らした涙の意味に、俺は何かを感じずにはいられなかった。

千茉莉…おまえは本当にあの男が好きなのか?


おまえの涙の意味が知りたい。


キスの後何故あんなに悲しげな瞳をしていたのか教えてくれ。




おまえの心からの笑顔を見る事もできずに今日がおまえとの最後になるんだろうか。




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