初恋~俺が幸せにしてみせる~
☆★23★☆
研修医の先輩に誘われて渋々ついていく俺

早く帰りたいと
願ながら、居酒屋を出てキャバクラへ向かう

酒は嫌いじゃない

むしろ、大好きだ

先輩と飲む時には
絶対に酔えない

たぶん、気を張っているせいだろう

今日も全然酔えない

酒が旨いと思えない

先輩をヨイショして
ご機嫌を伺う

そんな自分に嫌気が
さしていながらも
我慢しないと、自分の
未来が消える事を
察していた

俺にはそれが怖かった

店の女の子が、綺麗な
ドレスを身に纏い
俺の隣に座った

タバコに手を延ばす

すかさずライターを
点けてくれる

女の子の顔を見た俺は
くわえたタバコを
落とした

それと同時に

『あ』

という言葉が出た

女の子も

『あ』

と言った

ライターの火だけが
揺れていた

数秒の沈黙の後
ようやくタバコを拾い
火を点けてもらった

俺の隣には、花屋で
顔見知りになった
女の子が座っていたんだ
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