初恋~俺が幸せにしてみせる~
☆★24★☆
自販機でジュースを
落として、公園の
ベンチに座った

夜中の公園は全く
人気がなくなっていた

なるべく明るい場所を
選んで座った

『はい』

俺が渡したジュースを

『ありがとう』

と受け取る彼女

その時の笑顔は
花屋に居る時と
変わらない優しい
笑顔だった

先に口を開いたのは
彼女の方だった

『お医者さんだった
なんて知らなかった』

『研修医だから
まだまた医師じゃ
ないんだよ』

『お医者さんの卵?』

俺は軽く笑った

『そっちは、花屋と
キャバクラ嬢か?』

彼女は答えずに
軽く笑った

そしてジュースを
一口飲んだ

『色々あるのよ』

俺はその“色々”に
多少興味を持ったが
深く聞かない事にした

人には知られたくない
事もあると思ったから

それが優しさだと
思い込んでいたんだ

ジュースのおかげで
すっかり酔いは
醒めていた

俺は深くを聞かない
ように気を付けながら
話しをしていた
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