初恋~俺が幸せにしてみせる~
☆★34★☆
母さんに電話をしたのは久しぶりだった

俺の突然の決意に
母さんはしばらく
口を開かなかった

だけど、俺の考えを
受け入れてくれた

帰ってくるなら
そっちを全部綺麗に
してこいと言った

俺は何があったかは
伝えてはいない

だけど、母さんは
何かを感じたのか
強くそう言った

それから、付け加えて
疲れてるだろうから
ゆっくり休めと
忠告してくれた

電話を切って
大きなため息を
吐き出した

眠れないまま空が
明るくなってきた

カラになった缶が
テーブルに並んでいた

灰皿も吸い殻で
いっぱいになっていた

よく考えてみると
地元から出てきてから
ちゃんとした友達は
居なかった

俺がここから離れる事を悲しむ奴なんか居ない

孤独だったんだ

ずっと

1人だったんだ

情けないけど

飲みに行く仲間は
うわべだけの付き合い

麻美を紹介した事さえ
なかったくらいだ

仕事だけはちゃんと
片付けて辞めたい

それは俺の責任だから

それさえ投げ出すような腐った男のつもりは
全くないから
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