初恋~俺が幸せにしてみせる~
☆★37★☆
どのタイミングで
会いに行こうか
悩んでいた矢先

『退院するんだって』

看護士達のコソコソと
話す声が聞こえてきた

間違いなく千穂の事だ

退院する前に、千穂に
会いに行かなきゃと
仕事を片付けた足で
向かう事にした

どんな顔をして
会えばいいのだろう

急な不安に襲われる

でももう前に進むしか
ないんだと決断した

そして千穂の病室の
前に立って、大きく
深呼吸をしてから
ドアをノックした

聞こえるか聞こえないかのような声で

『どーぞ』

という返事が返ってきた

やけに重く感じながら
扉を開けて中に入った

俺と千穂は、しばらく
見つめ合っていた

驚いた千穂の表情

俺は何を言えばいいのかただ悩んでいた

『千穂、大丈夫か?』

ようやく出てきた言葉

千穂は何も言わずに
ベッドから立ち上がり
俺の胸に飛び込んできた

予想外の千穂の行動

懐かしいぬくもりが
俺の体を満たしていく

『大介!』

千穂の声が愛おしかった
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