最期の雨


「優弥!!まだ学校行かないの!?」




…お母さんの声で目が覚めた。
携帯を開くと、ディスプレイには9時29分と表示されていた。

着信一件。

おそらく、同じクラスの順平からだ。
オレは時間を確認して携帯を閉じた。




「ちょっと優弥!!なんで学校初日の日に休むのよ!!」
「オレ…マジで具合悪いんだ…、体温計持ってきて」




オレはお母さんにそう頼んだ。
寒気がして、頭が痛い。
お母さんは「嘘ばっかり吐いて」と言いながら階段をドスドス降りていった。

テレビをつけると、ニュースキャスターが真顔でもにゃもにゃニュースを伝えていた。

2分くらいして、お母さんが救急箱ごともってきた。




「体温計だけでよかったのに」
「熱とかあったらあれだから、熱さまシートも用意したの」
「体温計と熱さまシートだけでいいじゃん」
「優弥知らないの?この救急箱いっぱいに熱さまシートが入ってるのよ」
「…あぁそう……、早く体温計」
< 2 / 5 >

この作品をシェア

pagetop