~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅱ 竜と炎の王

間章

 東大広場。
 辺りは完全に闇に包まれ、人気もない。
 いや、“たった一人を除いて、誰一人としてこの場にいなかった”。
 人が近寄ることもなく、静寂だけが闇に調和していた。
 その闇の中に、一点、絵の具を差したように赤い影が一つ。
 それは静寂を打ち破るように、低く笑い声を上げた。

「ようやく、ようやくだ……」

 赤い髪の男はゆっくりと立ち上がり、腕を横に払った。
 手の軌跡をたどるように、赤い炎がちらちらと輝いた。

「ようやく、竜王術と、戦えるのか……」

 誰もいない静寂の中、一人の男の笑い声だけが、強く響き渡った。
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