鬼 鴉【総集編】
正直、岡っ引という職についてからは係わり合う人間の数が、年に百人を越える。
普段から付き合いのない人間など、名前を言われなければ思い出す事も、困難であった。
「……まぁ、イイ。そこのノびている馬鹿を、連れて行くゾ?」
紙洲は謎の解明を諦め、当初の目的でもあった盗っ人の捕縛を、優先させる。
「へい……」
手下の目明かしも、さほどその謎を気にも留めずに盗っ人を捕縛する為、荒縄を取り出した。