鬼 鴉【総集編】
「ロイン……、妹を頼んだぞ」
「かしこまりました」
鬼人は、金髪の美女に声を掛けていた。
ロインと呼ばれた女は、オペラ歌手のような美声で返答する。
ロイン、白く透き通る肌に、芸術品のような顔の造形は、完璧という言葉を表していた。
蒼い瞳は宝石のように輝き、無駄な筋肉の付いていない肢体を黒い正装で包み込んでいる。
ただ繊細な女性では無く戦士として、左の腰には細剣レイピアを装備している女であった。
そして、頭を下げなかった1人こそが、鬼人の妹なのである。
鬼人とロインの会話をよそに、二人の男が洞窟に向け歩を進めていた。