【短編】桜花爛漫

「和斗、こんなところで何してるの?」

「今からサークルのメンツで花見なんだよ。結依は、ヒデと?」


言葉に詰まった。

何で和斗がそのことを知っているの?

私の表情に気付いたのか、和斗の顔も曇っていく。


「あー……」

何か言いづらそうに口籠もる和斗に首を傾げていると、小さく息を吐いて静かに口を開いた。


「ヒデが……結依を好きなこと知ってたんだよな。いろいろと相談にものってたし」

「あ、そう……なんだ」


やっぱり、ヒデは本気で私のことを?

それ以上何て言っていいのか分からずに黙り込む。

何だか気まずい雰囲気。


耐えれなくなって、何か言おうとした瞬間。


「行くんだろ?」


和斗が促すように問い掛ける。


「あいつ待ってるよ。ずっと結依だけを想い続けてきたから。
今つらい時かもしれないけど……。話だけでも聞いてやって欲しい」


つらい時……。

和斗も知っているんだ。

私が彼と別れたって。


だけど、そんなにつらくないのは……ヒデのせい。


「気持ちに応えられなくてもいいから、会うだけ会って!」


いつにもまして真剣で鬼気迫る和斗に圧倒されて、「うん」と思わず答えた。


それを聞いた和斗は本当に嬉しそうに喜び、反対方向へと歩いていった。




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