討竜の剣
エピローグ
狩りを済ませ、俺は大衆酒場に足を運ぶ。

「よぉ火の玉、成果は上々か?」

いつものように昼間から飲んだくれている狩猟仲間が声をかけてくる。

「ああ、北の草原でうろついてたっていう剣歯虎、仕留めてきたぜ」

木製のテーブルにドッカと座った俺は、軽くそんな言葉をかけた。

背中に背負った討竜の剣を置き、店主に大声で言う。

「適当に食い物を!それから飲み物も頼むよ!喉がカラカラだ!」

…大衆酒場は相変わらず賑やかだ。

狩猟者達が集まってきて、仕事の依頼、狩猟の成果、新調した得物の使い心地などを口々に話している。

突然誰かが訳もなく「乾杯!」などと叫び、何の乾杯なのか理由も知らないまま、周りの連中もそれに従って一気に酒をあおった。

そんな陽気で単純明快な奴らを見ながら、俺も気分よく食事をすすめる。

汚竜討伐から一ヶ月。

その噂を聞きつけたのか、俺への仕事依頼はひっきりなしに訪れる。

魔物の討伐、素材の確保、近隣の街までの護衛。

仕事の種類は様々だ。

予約は半年先まで詰まっている。

こんなに忙しい狩猟者も珍しいだろう。

いまや『火の玉』の二つ名は、フーガやアイスラにまで轟いているらしい。

まぁ俺は狩猟で飯が食っていければ、細かい事はあまり気にならないのだけど。

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