Melty Kiss 恋に溺れて
「で、パパ。
今回はどうして帰ってきたの?」

私から手も放さずにパパは苦笑する。

「冷たいなー、都ちゃんは。
パパ、傷ついちゃった」

ああ、そうですかそうですか。

「でも、そういうのがツンデレっていんだろう?
大丈夫、パパは何でも知ってるよ」

と。
小さい子をあやすように髪を撫でるのやめてもらえません?

っていうか、ツンデレでもないしさ。
あの。

その突き抜けたプラス思考、なんとかならないかしら?

っていうか。
むしろ、その十分の一でもいいから、娘の私に遺伝させて頂きたいのですが。

ああ。キスは嫌、キスはっ。

私は迫ってくるパパの唇から逃げ出すべく、腕の中でもがいて抜け出した。

「昔はあんなにちゅうさせてくれたのに。パパは淋しいぞ~っ」

なんて、どんなに拗ねても同情は禁物。
正直言って、こんなパパと付き合う女性たちの顔が見たいほどだ。

人当たりも良いし、顔もいいけど。
うーん。
娘としては、フォローのしようもないくらいの駄目人間にしか見えませんけどねー?

紫馬宗太。
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