Melty Kiss 恋に溺れて
だけど、迷うわけもない。
こんなにずっと、長い間好きだったんだから。

だって、お母様もパパも、二人の結婚に賛成ってことなんだよね?

私は、ドキドキしながら自分から初めて、大雅の唇にキスをした。
触れるだけの、軽い、キスを。

「宜しくお願いします……」

なんて言ったらいいのか分からずに、口を吐いて出たのはそんな殊勝な言葉。

「こちらこそ、宜しくお願いします、都さん。
ねぇ、抱いてもいいですか?」

と、まるで同じトーンで二つのことを並べていうのは止めて欲しいんですけどっ。

「だだだだ、駄目よ。
バージンロードを歩くまでは、絶対に、ダメっ」

私は慌ててそう言ってみる。
口から出任せなんだけど、大雅は困ったようにため息を吐いた。

「っていうことはあれですか?
私はその日までずっと、キスだけで都さんをイかせてあげないといけないんですね」

……ええーっと?
  別に、イカセテくれなくて、結構なんですけど。

仕方ない、と。
ちっとも仕方がなくない顔で、微笑むと大雅は再び私の顎を持ち上げる。


溶けるような深いキスが、今までの私たちの間にあった深い溝をゆっくりゆっくり埋めていく。

まるで、終わりなどないかのように、長く、深く、熱く。

ゆるやかに、激しく、甘く、そうして。

私は、キスだけで確実に、溶けていくのだ。
大好きな、人と共に。


Fin.
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