衆道剣風録～契りの剣 三 死闘！高野山！

十五

　その時、暗闇から声がした！

「・・・哀しい者等よ・・・地獄へ戻れ」
　佐久間等はびっくりして後ろを見た！
　血に飢えた狼どもは、これから行う残虐な楽しみに気を取られ過ぎた！

「修理様！」
　万作が涙を流しながら叫んだ。
　講堂の奥の暗闇から大きな男がゆっくりと近づいてくる。明かり取りから差す光りが、その怒りの目もとを照らした！

「何奴！」

　佐久間達は瞬時に鶴翼の体勢に別れた！佐久間を中心にその両後ろ横に二人が展開したのだ。

　彼らの後ろには万作が居たが、修理の放つ尋常ではない気迫は、佐久間達を剣の修羅に戻していた！
「万作殿！動くなかれ！脇差しで通じる相手ではない！」

「ふふ・・・お主、少しは出来るらしいな！しかし一人で来るとは命知らずの阿呆か。万作！お前の色香で迷わせたか。くっくっく」
「来るべきか考えた・・・」
　万作は切ない目で修理を見た。

「儂がその気になったこと！お主等、不運に思え！」
「面白い！万作等を辱める前に一興じゃ！我等、天真正鬼一法眼の流れをこの世の見納めにせい！」