クライシス
プロローグ

暗闇

−12月31日23:55−




寒い・・・


雄介は震える体を手で擦る。


良い加減、手足の先は言う事がきかなく成っていた。


辺りは一面暗闇である。

星明かりだけを頼りに道を歩く。


公道だと言うのに街灯の一つも無い。


人家の明かりも無い。


腕時計の針がもう少しで新年を指そうとしている。


雄介は何故か笑ってしまった。


俺はこんな所で何をしている・・・こんな暗闇で年を越そうとしている・・・


しかもボロボロの服を来て・・・


今頃、由香達はスキー場で新年を迎えてるんだろうな・・・


そして、日本人の殆どは楽しく過ごしているんだろう・・・


そこまで思った時、雄介の瞳から涙が出て来た。


なんでこんな事に成ったんだろう・・・


何故俺は一人でこんな所にいないといけないんだ・・・


日本のタメに、こんな所に来て・・・


日本のタメに命がけで一人こんな暗闇を歩いている・・・


雄介はもう諦めようかと思った・・・


だけど・・・それは出来ない・・・


自分が諦めた瞬間に日本が滅びる・・・


だが・・・この暗闇は・・・雄介の心を折るのには充分な暗さであった・・・






雄介は一人、日本から1200km離れた異国の暗闇を・・・歩いていた・・・






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