クライシス
ヘリがひゅうがに着艦すると、雄介は甲板に降り立った。
 艦上では乗組員の自衛官達が、敬礼して雄介を迎えてくれた。雄介は照れながら、その敬礼に返礼をした。
 一人の男が笑顔で近づいた。
「明けましておめでとう、私はひゅうが艦長の西田一佐です!」
 そう言って握手をしてくる。
 そう言えば、年が明けたんだな、と思いながら握手をした。
「警視庁の市橋です。ありがとうございます。そして明けましておめでとうございます!」
 雄介が笑った。西田艦長も笑うと後ろを見て叫んだ。
「司令室に連絡!無事、市橋研究員を収容!今から帰還する!」
 その言葉に雄介はやっと実感した。日本に帰れるんだ。雄介の瞳から涙が出て来た。
「艦長、韓国海軍にはなんと言いましょうか?」
 副長が尋ねた。西田艦長は少し考えて、にやりと笑う。
「艦長のお腹の調子が悪いので帰ります、って言っとけ!」






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