変わらないコーヒーの味
4 悪魔は突然降ってきた
 正直、美紀が居るなんて思っていなかった。

 なのに、映画館に入りかけた時に後ろから聞こえた車の急ブレーキとその後の鈍い音に、嫌な予感が生まれたのは事実。


 「えー、今の音…事故だよね?」


 腕を絡めたまま、隣で早紀が呟く。

 早紀は、俺と同期で…まあ、ちょっと美紀には悪いと思いながら、ナカヨクしてる子。


 「そ、、だよな。」

 「人身事故かなぁ。」


 音からして、車同士では無いであろう。

 多分車と…人。


 「音やばかったもんね…大丈夫かな?」


 甘えた声でそう言いながらも、早紀の足は館内に向かっている。
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