桃色恋歌
帰り際
金曜日の帰り際、玄関で彼とすれ違ったときのことだった。

――バイバイ

低い声が、自分の耳に入ってきた。

えっ、今バイバイって言った?
空耳――じゃないよね。

驚いて彼の方を見たが、
彼の背中はもう遠いところにあった。
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