私だけのスーパーマン
転ぶ、そう思ったのに私は怪我1つしなかった。
なぜなら…
「どう…して…」
泉さんが私を支えてくれたからだ。
『怪我、してないですか?』
なんで…
どうして…
どうしていつもそんなに優しいんですか?
私に何も教えてくれないのに。
転びそうになった衝撃で引っ込んだはずの涙はまた、溢れ出す。
「やめてくださいっ!!」
素直にありがとう、と言えばいいだけなのに。
なんて私は捻くれているんだろう。
『…………すみれさん』
泉さんは悲しそうな目で私を見つめる。
その目から逃げようとまた、私は走り出そうとする。
『ちょっと待てよ』